日本工学会会長 柘植綾夫(芝浦工業大学学長)
平成23年度定時総会で前岸輝雄会長から会長職を引き継ぎました。132年の歴史を持ち、100にも及ぶ学協会で構成される日本工学会の会長として重責を感じております。産業界、科学技術行政および工学教育での経験を活かし、「社会のための工学の進展と発信」に向けて池田、広崎副会長および理事の皆様と一緒に尽力したいと思います。
21世紀は早、二回目の10年(Second Decade)に入り、世界は政治・経済・技術革新・教育の全分野において、変革に向けた大きな潮流のまっただ中にあります。一方、我が国はこの世界の潮流に乗り遅れて、いわゆる負のスパイラルからの脱出に苦しんでいる状況にあります。
さらにこの度の東日本大震災と原発事故という国難に直面した日本の新生、そして持続可能な発展への勝負は、まさにこの5年にあるとの覚悟が必要です。
被災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げ、避難され不便な生活を強いられておられる方々に衷心よりお見舞いを申し上げるとともに、今も原発事故の収束と被災地の復興に向けて命を懸けておられる方々へ深甚なる敬意と激励を送ります。
同時に、私たち工学によって立つものは今一度、工学の原点に立ってこの国難を克服するミッションを持つと考えます。今できる行動の実行とともに、今回の自然の挑戦の教訓に立った工学の持つ教育・研究・社会貢献の三つの使命の総点検が必要です。
工学の「工」の漢字は、「天と地の間の空間において、価値あるものを創造する人間の営み」を表します。まさに21世紀の今、第三の国創りの重大局面を迎え、日本工学会とその構成員である学協会は工学の原点に立って、その重大な社会的使命を果たさねばなりません。その要は、「研究(技術革新)」と「イノベーション(社会経済的価値の創造)」と「教育(人材育成)」の国創りの三大要素を、三位一体的に推進することにあると確信します。
既に各学協会におかれてはこの度の国難を踏まえて、このような視点から様々な活動を実行されておられるので、日本工学会ではそれらの活動からあぶり出されるであろう「工学共通の教育・研究・社会貢献の再構築と社会への発信」について取り組みたいと考えます。各学協会におかれてはこのような視座に立って、従来にも増して日本工学会に参加し、貢献していただきますようお願い申し上げます。
平成23年4月22日 記
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